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2007年10月 2日 (火)

美しくなければ

先日、NHKの「新 日曜美術館」に、日本画家の平山郁夫氏が出演されていて、心に残る言葉があったので、書き留めておきたいと思いました。

広島で被爆された平山氏は、いまわしい過去を忘れたいという思いと、生き残った後ろめたさから、その後30年以上原爆を絵にすることはありませんでした。

けれども、ある年に参加した記念祭で「永遠のともしび」を見たとき、それが原爆投下直後の燃え盛る炎とに重なり、原爆を描かなければと思ったそうです。

そうして出来上がったのが「広島生変図」(1979年)という絵でした。

画面の下に広島の街、すべてを焼き尽くす一面の炎。その中から不動明王が立ち上がり、広島を見降ろしています。

芸術は美しいものでなければいけない。

それを、血みどろになったり告発したりというのは、その場にいない人が描くのはいいんですけれども、当事者は、逃れたいと思うのと、それは絵としてはよほど考えないと美しくないという・・・・。

原爆を描いても、美しくなければと思っていました。

それは、蓮の花が泥沼から清浄な花を咲かすのと同じで、たいへんな経験をした中から抜けて、忘れたりするのではなくて、それを抜けて生かしていくというのが、我々の美術じゃないかという気持ちでいたものですからね。

しばし、ある美のなかに勇気を与えられたり、いろんなことを感ずるわけですね。

ま、そういう絵でありたいというふうに思うんですね。

苦しみも悲惨さも乗り越えて、なお生きる人々の強さと尊さ。それは美しく描いてこそ、観る者に伝わるはず。

平山さんの「描くことの覚悟」がここにあります。(解説)

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